起きていた問題
B社は、3大都市圏以外の県庁所在地にある年商4,000百万円規模の食品卸売業です。
既存事業領域において、大手競合他社との競争により収益性が悪化していました。そのような現状を打破するために、独自性のある食材を販売する新たな事業領域の開拓を推進してきましたが、新規事業が収益を回復するまでには貢献できていません。結果、売上高・利益額が減少する一方で、商品在庫が増え、資金繰りが悪化して、新たな事業領域への投資ができなくなっていました。
既存事業領域において、大手競合他社との競争により収益性が悪化していました。そのような現状を打破するために、独自性のある食材を販売する新たな事業領域の開拓を推進してきましたが、新規事業が収益を回復するまでには貢献できていません。結果、売上高・利益額が減少する一方で、商品在庫が増え、資金繰りが悪化して、新たな事業領域への投資ができなくなっていました。
コンサルタントの関わり方
在庫最適化診断を実行するとともに、在庫最適化支援においては、組織横断的な在庫最適化プロジェクト(社長・営業・新事業開拓・仕入・物流・財務の責任者)を立ち上げ、ファシリテーターとして、部門最適から全体最適に取り組みました。
解決方法
全体最適による在庫の最適化と創出したキャッシュの再投資
*SKUとは、商品の最小管理単位(Stock Keeping Unit の略)
解決 POINT 1
全体最適を目指す、組織横断プロジェクトの構築と運用
社長直轄の組織横断的な在庫最適化プロジェクトを立ち上げ、3年後の在庫適正化(商品回転率、アイテム数)目標の設定を行うとともに、具体的に、受発注および倉庫作業における業務プロセスの見直しやITのさらなる活用を推進しました。さらに、販売見込みに基づく発注体制を構築するため仕入・物流・営業の連絡会議を定期的に開催するようにし、在庫の最適化に向けて、部門活動を全社最適化する取り組みを行いました。さらに、プロジェクトの活動を通じて、会社が大切にする考え方を「デリバリー重視」「利益確保」から「キャッシュフロー重視」「投資効率重視」へとシフトさせていったのです。
解決 POINT 2
売上・利益に寄与しない在庫の削減と新しい事業領域への商品の投入
さらに、在庫最適化プロジェクトでは、不動在庫・滞留在庫の削減に取り組みました。そのうえで、在庫最適化の本丸である在庫高 80%を占めて、売上高80%に寄与していない在庫(約2,000 SKU)の削減に取り組んだのです。営業部門からは、顧客との関係が崩れる等、激しい抵抗がありましたが、経営戦略およびキャッシュフロー重視の観点に加え、顧客との関係性を踏まえながら、一歩ずつ解決していったのです。在庫最適化への取り組みにおいては、営業部門を巻き込むことが欠かせません。その結果、創出したキャッシュを新しい事業領域に向けた商品調達・商品開発に投入していったのです。
解決 POINT 3
収益性の悪い顧客からの撤退
在庫最適化プロジェクトでは、既存の事業領域において、粗利益額から直接経費を引いた、直接粗利益額の低い顧客からの撤退を決めました。この決断は、利益率低下への歯止めに寄与するとともに、既存の事業領域の営業マンを新しい事業領域へ、人的資源の移動を可能にしたのです。さらに、プロジェクトメンバーだけでなく社員に対しても、経営戦略に対する会社の本気度が浸透し、特に、新しい事業領域の営業マンへのプレッシャーとモチベーションアップにつながりました。
効果・成果
事業構造の変革に加えて企業文化も変革
また、在庫の最適化を推進する過程で、「デリバリー重視」「利益確保」の考え方から「キ
ャッシュフロー重視」「投資効率重視」の考え方を軸とした経営にシフトしました。組織横断的に新しい考え方が浸透したことで、社内のコミュニケーションが良くなり、さらには自分で考える、挑戦する企業文化が醸成されました。
在庫の悩みは、「在庫簡易診断」から
企業にとっては商品の仕入も一種の投資行動です。過剰仕入を誘発する原因を取り除いて余分な在庫を削減できれば、事業の成長に必要なキャッシュを創造することが可能です。まずは在庫の現状分析、課題の抽出、キャッシュ創出効果を測定できる「在庫簡易診断」がおすすめです。
在庫に関するお悩みご相談がありましたら、大阪中小企業診断士会までお気軽にご相談ください。
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