起きていた問題
近年、労働力不足や燃料価格上昇などトラック運送業を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。
このような中、当社は車両毎の運送原価計算を行っておらず、荷主から提示された運賃で荷物を運んでいました。全社的にはかろうじて営業黒字を確保しているものの、利益率は業界平均と比較しても決して高くはなく、収益構造の見直しを迫られていました。
特に、新規案件の話が出た際、車両を増車してまで受注するべきか否かといった判断材料がないため、 “この運賃なら利益が出るだろう”といった経験と勘に頼った判断を重ねながら保有台数が10数台にまで増え、現在に至っています。
このような中、当社は車両毎の運送原価計算を行っておらず、荷主から提示された運賃で荷物を運んでいました。全社的にはかろうじて営業黒字を確保しているものの、利益率は業界平均と比較しても決して高くはなく、収益構造の見直しを迫られていました。
特に、新規案件の話が出た際、車両を増車してまで受注するべきか否かといった判断材料がないため、 “この運賃なら利益が出るだろう”といった経験と勘に頼った判断を重ねながら保有台数が10数台にまで増え、現在に至っています。
コンサルタントの関わり方
原価計算による適正運賃の把握とデータに基づく収益改善に向けた取り組みの支援
トラックメーカーの勤務経験があるコンサルタントとして、原価計算の考え方、車両導入時の費用削減などについて具体的にアドバイスしながら、車両別運送原価管理の導入を支援しました。
解決方法
原価管理を活用し、収益構造を改善する
あるデータでは、何らかの原価計算を行っているとするトラック運送事業者は約6割しかなく、当社の事業規模で原価計算を実施している事業者は少ないといえます。
しかし、原価計算を実施している事業者ほど、荷主との契約条件の見直し交渉にあたっている割合が高く、原価計算は荷主との契約交渉に向けた第一歩であるといっても過言ではありません。
当社も原価計算を実施し、そのデータを荷主との契約交渉や新規案件の受託可否判断の材料として活用すると共に、車両の導入費用削減に向けて取り組んでいただきました。
しかし、原価計算を実施している事業者ほど、荷主との契約条件の見直し交渉にあたっている割合が高く、原価計算は荷主との契約交渉に向けた第一歩であるといっても過言ではありません。
当社も原価計算を実施し、そのデータを荷主との契約交渉や新規案件の受託可否判断の材料として活用すると共に、車両の導入費用削減に向けて取り組んでいただきました。
解決 POINT 1
車両別運送原価管理を導入する
原価計算を行うための市販の専用ソフトもありますが、今回は保有台数がまだ少なく、経営者や運行管理者がパソコン操作に不慣れなこともあり、簡易なエクセルシートを用いて試験的に導入することにしました。
実際に車両原価を把握するためには、先ず各車両の運行費(燃料費、油脂費、修理費、タイヤチューブ費、車検整備費、高速道路利用料、車両の税金、車両保険料、ドライバー人件費、車両の減価償却費・リース料等)について把握する必要があります。
次に間接費(役員・運行管理者の人件費、事務所家賃など会社の販売費・一般管理費等)について、一定の基準により車両に配分します。
これらの把握した原価をもとに、車両毎の1ヶ月当たり輸送原価や1km当たり輸送原価を計算することで車両原価を把握することができます。
実際に車両原価を把握するためには、先ず各車両の運行費(燃料費、油脂費、修理費、タイヤチューブ費、車検整備費、高速道路利用料、車両の税金、車両保険料、ドライバー人件費、車両の減価償却費・リース料等)について把握する必要があります。
次に間接費(役員・運行管理者の人件費、事務所家賃など会社の販売費・一般管理費等)について、一定の基準により車両に配分します。
これらの把握した原価をもとに、車両毎の1ヶ月当たり輸送原価や1km当たり輸送原価を計算することで車両原価を把握することができます。
解決 POINT 2
原価計算を基に契約交渉を行う
当社が燃料や車両価格が上がっていることを理由に、都度価格交渉を重ねてきたものの、なかなか値上げに応じてもらえていないという荷主が複数存在しました。
しかし、車両の代替のタイミングで原価計算による客観的なデータを提示して価格交渉に臨んでもらいました。
ねばり強く交渉を重ねた結果、当社の値上げ要請額の満額は受け入れられなかったものの、数年来実現していなかった値上げに応じてもらうことができ、当該路線の収益が大幅に改善しました。
しかし、車両の代替のタイミングで原価計算による客観的なデータを提示して価格交渉に臨んでもらいました。
ねばり強く交渉を重ねた結果、当社の値上げ要請額の満額は受け入れられなかったものの、数年来実現していなかった値上げに応じてもらうことができ、当該路線の収益が大幅に改善しました。
解決 POINT 3
車両の導入費用を削減する
トラックを注文する際は、乗用車とは違いフルオーダーになります。先ず①エンジンの種類、②トランスミッションのギア比(これはメーカーオプションになっているケースが多い)、③駆動方式、④シャシーの長さなどを指定する必要があります。②から④は積荷や輸送経路などによって自ずと決まってきますが、エンジンの選定には一考の余地があります。高馬力仕様のエンジンは価格も高くなりますから、積荷や輸送経路などに応じてオーバースペックにならないエンジンを選ぶ必要があります。場合によっては、ギア比を変えることで燃費の向上が期待できます。
また、次に検討すべきは、2次架装とよばれる車体側の仕様です。多くの運送業者では、“前回と同じ仕様で”といった発注の仕方をするケースが散見されます。しかし、車体形状や素材、床材の種類、燃料タンクの容量、架装品の種類や数、等々見直すポイントが数多くあります。当然、架装が増えれば増えるほど費用は高くなります。仕様を一から見直すことで、費用を抑えることができ、最大積載量が増えたというケースもあります。メーカーが予め用意しているメーカー完成車をベースに、必要最低限の架装を施すという方法もあります。当社の場合、この方法で車両の導入価格を1割以上削減することができました。
“ドライバー確保のためには立派な車両を用意する必要がある”といわれる経営者の方も多くいらっしゃいます。しかし、車両原価を下げるためには、この部分も避けてとおることができません。
また、次に検討すべきは、2次架装とよばれる車体側の仕様です。多くの運送業者では、“前回と同じ仕様で”といった発注の仕方をするケースが散見されます。しかし、車体形状や素材、床材の種類、燃料タンクの容量、架装品の種類や数、等々見直すポイントが数多くあります。当然、架装が増えれば増えるほど費用は高くなります。仕様を一から見直すことで、費用を抑えることができ、最大積載量が増えたというケースもあります。メーカーが予め用意しているメーカー完成車をベースに、必要最低限の架装を施すという方法もあります。当社の場合、この方法で車両の導入価格を1割以上削減することができました。
“ドライバー確保のためには立派な車両を用意する必要がある”といわれる経営者の方も多くいらっしゃいます。しかし、車両原価を下げるためには、この部分も避けてとおることができません。
効果・成果
原価計算を行うようになり、赤字路線や低収益路線を特定することができ、ねばり強く契約交渉を行うことで収益を改善することができました。
また、原価を把握することで新規案件の受注可否判断ができるようになり、コストをカバーできる水準の運賃でなければ受注しないという方針を貫くことができるようになりました。
さらに副次的な効果として、全社的に原価意識が向上したことをあげることができます。①省燃費運転の社内コンテストを開催して燃料費を抑制、②事故や故障の発生を防ぐための車両整備の実施と社内講習会の開催など、今までにない取り組みを行うようになりました。特に、乱暴な運転などにより発生していた運行中の故障が減り、修理費の削減が実現しました。大型トラックともなると、トランスミッションの修理で数百万円を要することもあります。また、トラックを修理している間の傭車費などの削減にもつながります。
また、原価を把握することで新規案件の受注可否判断ができるようになり、コストをカバーできる水準の運賃でなければ受注しないという方針を貫くことができるようになりました。
さらに副次的な効果として、全社的に原価意識が向上したことをあげることができます。①省燃費運転の社内コンテストを開催して燃料費を抑制、②事故や故障の発生を防ぐための車両整備の実施と社内講習会の開催など、今までにない取り組みを行うようになりました。特に、乱暴な運転などにより発生していた運行中の故障が減り、修理費の削減が実現しました。大型トラックともなると、トランスミッションの修理で数百万円を要することもあります。また、トラックを修理している間の傭車費などの削減にもつながります。
経験と勘に頼った受注をしていませんか?
今回の事例は多くのトラック運送事業に当てはまるものです。「会社の収益性が思うように向上しない」、「仕事の引き合いは多いが、利益の出る運賃なのか判断できない」、「全社的に原価意識が乏しい」といった問題を抱えている事業者が非常に多くなっています。
排ガス規制の強化などにより車両価格が上がり、加えて燃料価格が上昇するなど、経営環境はますます厳しさを増していくといっても過言ではありません。
こうした環境変化に対応していくために、トラック事業者が経営の高度化を図っていくことは不可欠であり、その第一歩が車両別運送原価管理です。
トラック事業者の方々が経営の高度化に取り組む際のサポーターとして、是非、中小企業診断士をご活用ください。
今回の事例は多くのトラック運送事業に当てはまるものです。「会社の収益性が思うように向上しない」、「仕事の引き合いは多いが、利益の出る運賃なのか判断できない」、「全社的に原価意識が乏しい」といった問題を抱えている事業者が非常に多くなっています。
排ガス規制の強化などにより車両価格が上がり、加えて燃料価格が上昇するなど、経営環境はますます厳しさを増していくといっても過言ではありません。
こうした環境変化に対応していくために、トラック事業者が経営の高度化を図っていくことは不可欠であり、その第一歩が車両別運送原価管理です。
トラック事業者の方々が経営の高度化に取り組む際のサポーターとして、是非、中小企業診断士をご活用ください。