起きていた問題
当該企業は8年前に、ある地方都市の駅前に第1店舗目を出店し、売上高・営業利益ともに順調に推移したため、ドミナント効果を狙って同市内に第2店舗目を出店しました。しかし、全国チェーン店の出店もあって競合が激化したことと、既存2店舗のカニバリゼーション(共食い)もあって、急激に業績が悪化しました。幸いにもまだ赤字経営にまでは陥っていなかったため、経営者はこの際大胆な組織変革による再生を図るため、2店舗目の閉鎖または第3店舗目の出店を検討しました。
コンサルタントの関わり方
非顧客層の固定客化プロジェクトチームのリーダーを担当
非顧客層の利用動機と、望まれるメニューや雰囲気を調査し、それへの対応を検討しました。
解決方法
顧客層の誘店を図るため、各店舗コンセプトの差別化を図る
非顧客層の誘客・固定客化を図るため、第2番目の店舗の大幅なリニューアルと、新たな第3番目の店舗を出店しました。具体的には、第1番目の店舗は従来の主要客層(サラリーマン、家族連れ)をターゲットに、第2番目の店舗は若者をターゲットに改装するとともに、新たに女性をターゲットにした第3店舗目を同市内に出店し、それぞれの店舗が、そのターゲットに対しては市内の1番店を目指すよう、メニュー、雰囲気、接客サービス、イベント等を徹底的に討議し、それぞれの利用動機が完全に満たされる店づくりを実施しました。
解決 POINT 1
各店舗がターゲットとする客層の差別化
各店舗がターゲットとする客層を以下のように設定しました。
第1店舗~
従来は各層から満遍なく集客することを目指していましたが、近隣に全国チェーン店が出店し、顧客を奪われる状況でした。そこで、当該店舗は当時の主要客層であったサラリーマン及び家族連れ客層の来店動機に絞り込んだ店舗の雰囲気、接客応対、メニュー設定、販売促進活動等を新たに展開し、競合店から顧客を引き戻すとともに、新規顧客の誘客にも成功し、売上高・営業利益を繁盛期と同等水準にまで回復させることに成功しました。
第2店舗~
第1店舗と同じく全客層からの集客を断念し、若者をターゲットに旧店舗の運営を全面的に見直し、若者の来店動機に即した店舗づくり、接客応対、メニュー設定、販売促進活動を展開し、競合店舗から若者を奪い取ることに成功しました。
第3店舗~
当該店舗は、今回の経営戦略見直しの段階で新たに出店した店舗であり、女性をターゲットにすることによって、売上高・営業利益を計画通り達成しています。女性に好かれる店舗づくりを実施することによって、新たな男性顧客も増加するという副次効果もあって、現在のところ順調な滑り出しです。当該店では、特に「インスタ映え」を意識した店舗運営に特徴を持つことで、話題性を醸し出しています。
第1店舗~
従来は各層から満遍なく集客することを目指していましたが、近隣に全国チェーン店が出店し、顧客を奪われる状況でした。そこで、当該店舗は当時の主要客層であったサラリーマン及び家族連れ客層の来店動機に絞り込んだ店舗の雰囲気、接客応対、メニュー設定、販売促進活動等を新たに展開し、競合店から顧客を引き戻すとともに、新規顧客の誘客にも成功し、売上高・営業利益を繁盛期と同等水準にまで回復させることに成功しました。
第2店舗~
第1店舗と同じく全客層からの集客を断念し、若者をターゲットに旧店舗の運営を全面的に見直し、若者の来店動機に即した店舗づくり、接客応対、メニュー設定、販売促進活動を展開し、競合店舗から若者を奪い取ることに成功しました。
第3店舗~
当該店舗は、今回の経営戦略見直しの段階で新たに出店した店舗であり、女性をターゲットにすることによって、売上高・営業利益を計画通り達成しています。女性に好かれる店舗づくりを実施することによって、新たな男性顧客も増加するという副次効果もあって、現在のところ順調な滑り出しです。当該店では、特に「インスタ映え」を意識した店舗運営に特徴を持つことで、話題性を醸し出しています。
解決 POINT 2
各店舗が提供するメニューの見直し
解決point1に見るように各店舗が提供するメニューをそれぞれ見直しました。ただ、ここで注意すべきことは「規模の利益」を損なわないことでした。そこで、新たに「メニュー検討チーム」を組織して規模の利益を損なわず、かつ各店舗のターゲット顧客に満足してもらう独自性を打ち出すことにしました。具体的には、メニュー構成をメニューの幅と深さに分けて検討することにしました。つまりメニューの幅はTの字の横棒にあたるものであり、これについてはできる限り全店ほぼ同一のものにしました。一方、縦棒(メニューの深さ)については各店舗のコンセプトに応じて特徴を持たせ、ターゲットを満足させうる深みを持たせました。このようなメニュー構成を確立することによって、「規模の利益」を活かしつつ、顧客満足を充足させうるメニュー構成を確立させました。
解決 POINT 3
共通食材を活用した食材コストの低減化
飲食店経営のコストの中でも特に重要なものは言うまでもなく食材費です。少ない食材費でいかに顧客を満足させるメニューを提供できるかは極めて重要なファクターです。当該店のように3店舗を運営する規模であっても、大型店に比べれば「規模の利益」はそれほど大きなものは望めません。そこで、「食材構成表」を作成し、できる限り仕入力を強化することを目指しました。具体的には提供する全メニューを横軸に記入し、その各々のメニューが必要とする食材をすべてその下に書き出しました。そうすることによって、多くのメニューが必要とする食材と、限られたメニューにしか必要でない食材が明らかになりました。そこで、限られたメニューにしか必要とされない食材を、多くのメニューが必要とする食材に置き換えることができないかを検討し、可能であればその食材に置き換えました。このようにして、同一食材を多用することによって、仕入れコストの圧縮と、ロスの圧縮を図ることができました。
効果・成果
これまで見たような努力によって、カニバリゼーション(共食い)はなくなり、各店舗ともそれぞれの目標を達成しつつあります。具体的には、第1店舗は、繁盛期の売上高をほぼ回復し、第2店舗、第3店舗ともほぼ売上高・営業利益の予算を達成する目途が付きました。さらには、各店舗の従業員が営業において門化し、「努力すれば報われる」という自信がついたことが特筆されました。
時流を的確に踏まえ、計画的に運営する飲食店はつぶれにくい!
環境の変化が極めて大きく、かつ速い現代のビジネス社会に求められている経営の路線は、過去の延長線上にはありません。このことを強く認識し、従来のマーケティング手法や過去の成功体験・成功事例を参考にしつつも、これらに感性を重視した思考をプラスしたマーケティングの展開が必要になります。中小企業診断士会は、創業から経営改善まで数多くの飲食店の発展に貢献してきました。立地やターゲットに即したコンセプトづくりから、メニュー提案、販売促進までのすべてを一緒に考え、一緒にお店づくりを目指しましょう。
あなたのお店の「繁盛店づくり」は、中小企業診断士会にお任せください!
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