起きていた問題
既存事業で印刷業を営んでいるA社は、社長直轄プロジェクトとして新規事業①と新規事業②を立ち上げました。しかし、既存事業と新規事業①は方法が異なるものの実質的に同じ事業分野であったため、事業間でカニバリゼーションが起こっていました。新規事業②は、既存事業とは異分野の事業でしたが、立ち上げて1年経過しても顧客開拓が全くできていない状態でした。既存事業の従業員は、業績が好転した既存事業で得られた資金の多くを新規事業に投資されていたり、新規事業の内容についてほとんど説明を受けていなかったりしたことなどから、新規事業に対する不信感が生まれ、モラールも低下している状況でした。
コンサルタントの関わり方
既存事業のビジネスモデルの見直しと新規事業のビジネスモデルの構築支援
1.既存事業について、顧客への価値提案を中心にビジネスモデル・キャンバスを活用してビジネスモデルを整理する。
2.新規事業①について、ビジネスモデル・キャンバスを活用してビジネスモデルを作成し、既存事業のビジネスモデルに重ね、新たなビジネスモデルを設計する。
3.新規事業②について、ビジネスモデル・キャンバスを活用して、想定顧客に対する価値提案を中心にビジネスモデルを設計する。
4.既存事業と新規事業①および新規事業②のビジネスモデルを全社で共有する。
2.新規事業①について、ビジネスモデル・キャンバスを活用してビジネスモデルを作成し、既存事業のビジネスモデルに重ね、新たなビジネスモデルを設計する。
3.新規事業②について、ビジネスモデル・キャンバスを活用して、想定顧客に対する価値提案を中心にビジネスモデルを設計する。
4.既存事業と新規事業①および新規事業②のビジネスモデルを全社で共有する。
解決方法
既存事業と新規事業①および②について、顧客と価値提案を明確にしてビジネスモデルを再設計する
既存事業については、顧客セグメントごとに価値提案を整理することで、新たな価値提案を定義することができました。また、価値提案を自社視点から顧客視点に転換することができ、新規案件の受注につながりました。既存事業と親和性の高い新規事業①については、各々の事業で顧客への価値提案を定義し直すことで、既存事業と新規事業①の棲み分けができるようになりました。新規事業②については、新たなビジネスモデルを作成するとともに、営業方法を見直すことで新規顧客開拓につながりました。
解決 POINT 1
既存事業のビジネスモデルの見直し
既存事業について、ビジネスモデル・キャンバスを活用してビジネスモデルを整理しました。その際、A社から顧客への価値提案として、最初は一律に「高品質・低価格・短納期」だけしか出てきませんでした。そこで、顧客セグメントごとに価値提案を検討していきました。ビジネスモデル・キャンバスを活用して既存事業を整理することで、これまでの自社視点から顧客視点での価値提案に転換することができ、また、顧客セグメントごとに異なる価値提案を定義することで、セグメントごとの訴求ポイントが明確になったので、既存顧客からの新規案件の受注や新規顧客との取引開始につながりました。
解決 POINT 2
既存事業と新規事業①の異なる価値提案の創出
整理された既存事業のビジネスモデル・キャンバスの上に、新規事業①のビジネスモデルを重ねることで、同じ顧客セグメントでも異なる価値提案を見つけ出すことができました。その結果、顧客への価値提案をもとに受注案件を事業ごとに振り分けることで、カニバリゼーションを解消するとともに、既存の機械やノウハウなど活用できるリソースを生かしながら新規顧客への価値提案もできるようになりました。
解決 POINT 3
新規事業②のビジネスモデルの構築
新規事業②は、既存事業や新規事業①とは異分野でかつ想定顧客が異なり、新たなリソースやパートナー、チャネル等が必要となるため、別途ビジネスモデルを作成しました。新規事業②は、新規顧客開拓が最重要課題であったため、今までの営業方法を見直すべく、新たに作成したビジネスモデル・キャンバスで定義した価値提案をもとに新規顧客開拓を実施していきました。ビジネスモデル・キャンバスは、新規事業の概要や顧客への価値提案をストーリーで伝えることができるので、自社として初めて取り扱う商材を提案する際にも、顧客にわかりやすく伝えることができるようになりました。
効果・成果
A社の新規事業①では、「既存の印刷機械を方式の異なる最新機種に置き換えれば新規性を顧客にアピールできる」という方針で事業を立ち上げていました。そのため、顧客にとっては、「あれができます、これもできます」といった手法の提案しかできず、いままでと何が違うのか、他社と何が違うのか、顧客にとってどのようなメリットがあるのかといった差別化ポイントを提案・アピールすることができていませんでした。そこで、ビジネスモデル・キャンバスを活用し、どのような顧客にどんな価値を提供できるかを中心に考えて事業を見直すことで、新規事業①でしか実現できない新たな価値提案を見出すことができ、また既存事業との棲み分けのポイントを見つけ出すこともできました。さらに、新規事業②に関しては、顧客価値の視点を持って営業をしていくことで、顧客にとっての価値がそのまま営業トークとして活用でき、新規受注につながりました。
まずは一度、一緒に貴社の事業をビジネスモデル・キャンバスに描いてみませんか
不確実性の高い今日の経営環境では、環境変化に応じてビジネスモデルを再構成し、相互に組み合わせて持続的な競争優位をつくり上げる能力が必要となってきています。ビジネスモデル・キャンバスは、一枚のシートで事業全体を俯瞰して、ビジネスモデルの各要素を動的に変化させながらの関連性や意味づけを設計できるのが特徴ですので、既存事業の見直しはもちろんのこと、新規事業や創業、新製品開発、事業承継、経営改善といった様々な局面で活用できるツールであり、また社内外のビジネスの共通言語として活用できるツールでもあります。
既存事業の見直しや新規事業を立ち上げる際のビジネスモデル構築など、中小企業診断士が外部専門家として携わることで、より客観的な視点でビジネスモデルの構築・見直しができます。まずは、お気軽にご相談ください。
既存事業の見直しや新規事業を立ち上げる際のビジネスモデル構築など、中小企業診断士が外部専門家として携わることで、より客観的な視点でビジネスモデルの構築・見直しができます。まずは、お気軽にご相談ください。