起きていた問題
院長は総合病院で長年勤務をされたのちに、個人事業主として無床の内科クリニックを開設されました。しかし思うように患者数が増えず、事務長を中心として患者数の増加及び売上・収益の向上への取組を開始しましたが、医療法による広告規制や診療報酬制度の制限を大きく受け、何から手を付ければいいのか、具体的にどうすればいいのかが手探りの状態であり思うように成果が出ない状態でした。このような状態によって院長にも焦りや不安が生じ、それが従業員にも伝播してきており院内の雰囲気や士気も下がってきており早急な改善が必要となっていました。
コンサルタントの関わり方
医療業の特性を踏まえた経営分析及び改善計画の立案
医療業では、まず第一の特性として『医師を中心とした医療の提供』があります。医療業において医師は、治療方針の決定と実際の治療を行うとともに、各職種間への指示命令系統の指揮官を担うポジションとなります。そこで、まず最初に院長に医院の治療方針や医療に対する理念、また院長自身の医療に対する考え方や姿勢などをじっくりとヒアリングを行い、今後の経営計画の基礎としました。次に第二の特性として、上記のように医療法による広告規制や診療報酬制度などの制限が挙げられます。これら制限の内容をしっかり把握し、制限の範囲内で効果的な施策を打ち立てる必要があります。そこで、事務長に月次試算表やレセコンデータ等必要な書類を準備していただき現在の経営状況を数字によって可視化するとともに、今後の目標数字を作成することとしました。
解決方法
レセコンデータ分析を中心とした経営分析・数字計画作成
レセプトコンピュータ(レセコン)は、診療報酬請求のために使用されますが、それ以外にも様々なデータを持っています。具体的には、実患者数や延べ患者数、初診患者数、年齢・性別、住所、平均点数、診療行為別集計などです。これらデータを様々な角度から分析することによってクリニックの経営を数字化して可視化することができます。また、分析結果を基に具体的な数値目標を設定した経営計画が作成でき、これによってスタッフとわかりやすく経営目標を共有することができ、モチベーションの向上にもつながります。
解決 POINT 1
レセプト請求内容より保険請求単価及び加算等の確認
まず、月間レセプト資料より総請求金額及び述べ受診者数を確認し、それらより一人当たりの請求単価を確認します。厚生局より各診療科別の平均点数が公開されていますので、それをもとに大きな差異はないかを確認します。この際注意しなければいけないのは、少ない場合だけではなく大幅に平均を上回る場合(診療所の場合診療科平均点数の1.2倍以上)の場合は集団的個別指導の対象となりうることです。そのため、平均点数から上下に大きくかい離していないかを確認する必要が生じます。
次に、加算等の申請状況の確認が必要となります。誤請求等がある場合は返戻や指導等の対象となり、また算定漏れがある場合は過少請求となり収入が少なくなります。これらを防ぐために、過去にさかのぼって確認を行うとともにケースに応じたマニュアル等を整備し事務長と通じて院内で情報を共有します。これらを行うことによって、請求額を適正化し収入を安定させます。
次に、加算等の申請状況の確認が必要となります。誤請求等がある場合は返戻や指導等の対象となり、また算定漏れがある場合は過少請求となり収入が少なくなります。これらを防ぐために、過去にさかのぼって確認を行うとともにケースに応じたマニュアル等を整備し事務長と通じて院内で情報を共有します。これらを行うことによって、請求額を適正化し収入を安定させます。
解決 POINT 2
マーケティング調査及び広告戦略の策定
患者数を増加させるために、マーケティング調査を行うとともに広告規制に抵触しない形での広告宣伝を行う必要があります。そのために、以下の施策を行います。
① 商圏調査:まず、半径1km及び2kmをそれぞれ1次商圏、2次商圏として商圏内の年齢・性別別人口分布の確認をします。また、厚生労働省が発表している「患者調査」には傷病分類別受療率が示されていますので、これらデータによって商圏内の大まかな受療数を把握することが可能となります。加えて、商圏内の競合院の確認を行います。これらデータと、レセコンデータの顧客の年齢・性別、及び症状等のデータを比較することによって、商圏内で患者を獲得できているかどうか、自院が得意とする疾患でしっかりと集患が行えているかなどを分析します。
② 広告宣伝:広告については、医療法の一部改正に伴い厚生労働省が「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」において指針を示しており、それに沿って広告宣伝を行います。特に、2018年6月の改正で、ホームページも広告の扱いとなることが示されたので、十分に注意を行いながら「クリニックの治療方針や診療内容、使用機器」「院長のプロフィールや医療への思い、診療方針」などを詳細に記載し、クリニックのアピールを行います。それに加えて外部向けパンフレットを作成し、宣伝を行います。
特に、介護福祉機関への営業を積極的に行います。近年は医療介護連携の強化が進められており、介護関連事業所からの問合せや紹介が増加傾向です。そこで、事務長を中心として地域のケアマネ事業所や地域包括支援センターなどへ医院の診療内容や診療方針などの説明を行い集患へとつなげる活動を継続して行うことによって患者数の増加を図ります。
① 商圏調査:まず、半径1km及び2kmをそれぞれ1次商圏、2次商圏として商圏内の年齢・性別別人口分布の確認をします。また、厚生労働省が発表している「患者調査」には傷病分類別受療率が示されていますので、これらデータによって商圏内の大まかな受療数を把握することが可能となります。加えて、商圏内の競合院の確認を行います。これらデータと、レセコンデータの顧客の年齢・性別、及び症状等のデータを比較することによって、商圏内で患者を獲得できているかどうか、自院が得意とする疾患でしっかりと集患が行えているかなどを分析します。
② 広告宣伝:広告については、医療法の一部改正に伴い厚生労働省が「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」において指針を示しており、それに沿って広告宣伝を行います。特に、2018年6月の改正で、ホームページも広告の扱いとなることが示されたので、十分に注意を行いながら「クリニックの治療方針や診療内容、使用機器」「院長のプロフィールや医療への思い、診療方針」などを詳細に記載し、クリニックのアピールを行います。それに加えて外部向けパンフレットを作成し、宣伝を行います。
特に、介護福祉機関への営業を積極的に行います。近年は医療介護連携の強化が進められており、介護関連事業所からの問合せや紹介が増加傾向です。そこで、事務長を中心として地域のケアマネ事業所や地域包括支援センターなどへ医院の診療内容や診療方針などの説明を行い集患へとつなげる活動を継続して行うことによって患者数の増加を図ります。
解決 POINT 3
経営理念や方針を基礎とした経営計画の策定
上記2点、及び経営計画の礎となるのが、クリニック及び院長の「理念・方針」となります。まず請求単価ですが、算定している科目や加算は診療方針や院長の医療への理念・考え方と合致しているかを確認したうえで、適正化が行えないかを検討します。理念・方針に沿ったうえでの算定でなければ、著しく院長やスタッフのモチベーションを下げる可能性があるためです。
次に広告宣伝についてですが、上記のようにしっかりと院長・クリニックの理念や方針を明示し、また得意とする治療方法や疾患などを(広告規制に抵触しない範囲で)営業先や患者へと伝えることによって医院を差別化することが集客へとつながります。
これらに加え、「理念・方針」をしっかりと打ち出しスタッフと共有し浸透させることによって意識を改革し、モチベーションを高めることによってクリニック全体を活性化させることができます。理念・方針を掲げ、それを実現するための経営計画であり数値目標であるということを明確にすることによって、スタッフ一丸となって目標に邁進する組織へと変革します。
次に広告宣伝についてですが、上記のようにしっかりと院長・クリニックの理念や方針を明示し、また得意とする治療方法や疾患などを(広告規制に抵触しない範囲で)営業先や患者へと伝えることによって医院を差別化することが集客へとつながります。
これらに加え、「理念・方針」をしっかりと打ち出しスタッフと共有し浸透させることによって意識を改革し、モチベーションを高めることによってクリニック全体を活性化させることができます。理念・方針を掲げ、それを実現するための経営計画であり数値目標であるということを明確にすることによって、スタッフ一丸となって目標に邁進する組織へと変革します。
効果・成果
このように理念・方針を明確に打ち出すとともに経営計画を示すことによってスタッフの意識が変わり、自分たちが何をしなければいけないかを自ら考えるようになり、院内が活性化されました。院長の経営面への意識も高まり、特にレセプト内容に関しての意識の変化が在宅医療等の増加へとつながり、診療報酬だけでなく診療内容の充実にもつながり患者への信頼も高まっています。また、介護福祉機関への営業活動の効果も見られ、新患数・述べ患者数ともに増加しており、月間目標売上高に到達しました。現在は、事務長とともに医療法人化や訪問看護ステーションの設立等を検討しています。
病院・クリニックの経営相談は中小企業診断士へ
病院の経営は特殊であると思われることも多いですが、根本的には他の多くの事業と同じく「経営理念・経営方針」を明確にし、他社との差別化を図りながら経営計画を作成し数値によって管理を行う、ということが基本になります。中小企業診断士は事業分析及び経営計画立案のプロフェッショナルであるとともに、様々な事業分野に精通した専門家がいます。特に昨今では医療・介護の分野での経営相談も増加してきており、多くの中小企業診断士が経営のご支援をさせていただいております。これらの分野で経営に不安や課題を感じられましたら、まずはお気軽に「中小企業診断士」へとご相談ください!