起きていた問題
対象企業の売上高の約8割が公共工事に依存していました。しかし公共工事の減少や入札制度改革に伴い受注を確保することが困難となっていました。資金繰りについては、資金繰り表に基づいた計画的な資金管理がなされておらず、自転車操業状態でやりくりしていました。経営者は忙しく時間に追われ、現場の段取り以外の事については、ゆっくりと打合せや会議をもつことが出来ていませんでした。
コンサルタントの関わり方
月次決算ができる体制づくりの支援と利益計画と資金計画の導入
工事部と経理部の連携がとれておらず、経営数字の現状把握もできていませんでした。そこで書類の流れを整理して現状把握ができる状態となることを最初の目標としました。経営者も「計画的な経営を行うなんて夢の話」と当初は語っていましたが、目の前にある課題を1つずつ解決していくことにより、夢の話と思っていた計画的な経営ができるようになりました。
解決方法
経理の合理化を図り、予算実績管理のできる体制を整える
対象企業は、工事部と経理部の連携が取れておらず、会計帳簿も現金主義により計上されていたため、会計事務所で決算作業が終わるまで、最終利益が把握できない状況でした。最終的には利益計画と資金計画に基づく安定した経営を目指し、まずは現金主義を発生主義に転換するなど月次決算ができる体制を整えるため、目の前にある課題を1つずつ解決していきました。
解決 POINT 1
書類の流れの整理と工事部と経理部の連携強化
工事部と経理部が存在していましたが、それぞれ別々に数字を把握しており、連携が取れていませんでした。そこで工事進行時と工事完成時のそれぞれの役割を明確にし、書類の流れを整理することにより、工事部と経理部の連携を図り、重複作業の削減と経理の合理化に取り組みました。
具体的には書類の流れ図を作成し、どのような流れで書類が流れていくのかを可視化するとともに、未成工事ファイルや完成工事ファイルがどの段階で工事部から経理部に流れていくのかを決定しました。
具体的には書類の流れ図を作成し、どのような流れで書類が流れていくのかを可視化するとともに、未成工事ファイルや完成工事ファイルがどの段階で工事部から経理部に流れていくのかを決定しました。
解決 POINT 2
月次決算ができるような経理体制の整備
現金主義で会計帳簿が作成されており、概算の減価償却費の計上もなされていなかったため、会計事務所で決算作業を行った後でしか、最終利益がわからない状況でした。そこで会計の入力を現金主義から発生主義へと転換し、工事完成基準で完成工事高と完成工事原価を毎月計上し、減価償却費についても毎月概算計上することにしました。これにより月次決算が行えるようになり、毎月の経営成績をリアルタイムに把握できるようになりました。
解決 POINT 3
利益計画と資金計画に基づいた計画的な経営
毎月の経営成績がリアルタイムに把握できるようになったからといっても、それだけでは業績がいいのか悪いのか判断することができません。業績がいいのか悪いのかを判断するには基準となる指標が必要です。それが利益計画であり資金計画です。期首に経営者から進行中の工事の予想完成時期、現在見積中の案件内容などをヒアリングするとともに、費用面についても費目ごとに毎月支出される費用を確認しながら利益計画と資金計画を作成していきました。こうして作成された計画に照らし合わせて月次決算により把握した実績値がいいのか悪いのかを判断することが可能となり、早めの対策を打つことができるようになりました。
効果・成果
利益計画及び資金繰り計画を作成し、予算と実績を毎月確認することにより資金繰りの見通しがつくようになりました。銀行対応の面からも、いつどのくらいの資金需要があるかを事前に把握することができるようになったことにより、余裕をもった融資の相談等ができるようになりました。
計画的な経営を行うサポートは中小企業診断士へ
当初山積にあった問題点も一つずつ解決していくことにより、クリアーになっていきます。ただ現状の問題点を解決しただけで経営状況がよくなる訳ではありません。理想とすべき姿を明確にして、そのために実行すべき課題を1つずつ解決していって、はじめて理想とする姿になることができます。
会計を税務申告や銀行に提出する資料としてしか使わないのではなく、数字に裏付けされた計画的な経営を行えるように使っていくことが優良企業となる一番の近道です。
会計を税務申告や銀行に提出する資料としてしか使わないのではなく、数字に裏付けされた計画的な経営を行えるように使っていくことが優良企業となる一番の近道です。