起きていた問題
創業者の多くは様々な動機に背中を押されて創業を志し、決断し、行動しています。創業者によって立場、環境も多様で、抱えている悩みも多岐に渡りますが、今回は3つのステージに分類し、起きていた問題と解決策、中小企業診断士としての関りかたをご紹介します。
コンサルタントの関わり方
コンサルタントとして、それ以上に創業者の良い理解者となる
創業を考えている、ビジネスを始めたいという相談は、創業者がこれまでどのように生きてきて、これからどのように生きていきたいという相談に通ずるものがあります。過去の経験や成功体験をもって創業に挑む場合もあれば、これまでの苦労から抜け出したくて一念発起する創業者もいらっしゃいます。一般論であるべき姿を示すだけではなく、相談者に寄り添った良い理解者になることがスタートになります。
解決方法
創業者の“これまで”から課題、目標を明確にし、目指すべき“これから”を描く
事業の構想から創業計画の作成や創業融資を受けるポイントについて。また、より良い形で事業を始めるためのポイント。
解決 POINT 1
ビジョン、ビジネスプランの明確化
どんなビジネスをしたいのか具体的に考えられているケースもあれば、「人の役に立ちたい」といった創業への想いだけで相談される場合もあります。そうした方には、まず自分自身の棚卸をして頂き、自分がこれまでどんなことをしてきて、どんなことができるのか、どんなことをやってみたいのかを明確にして頂きます。もちろんこれまで経験してきた仕事とは異なったビジネスを始めたいという方もいらっしゃいますが、必ずどこかでこれまでの経験は生きてくるはずで、それはその方の大切な「強み」になるはずです。また、創業のタイミングで考えていることや動機については、文字として残しておくことをお勧めしています。それは創業後、うまくいかなくなってしまった場合や、苦しい時に自分を支えてくれる財産となるはずだからです。より明確なビジョンや、ビジネスプランを明確にすることは、創業後に事業を成功させる第一歩です。
解決 POINT 2
創業計画の作成・創業融資
ビジョン、ビジネスプランを明確にした後は更に具体的な計画とするために創業計画の作成を勧めています。創業計画として文字や数字にしてみると、なかなか進まず、苦労される方も多いのですが、客観的に自分の計画を再確認することもできますし、考慮できていないことがあったと気づくきっかけになることもあります。創業融資を受ける場合には既定のフォーマットに沿って作成する必要がありますが、日本政策金融公庫のフォーマットであればA3サイズで1枚のフォーマットがHPからダウンロードできるようになっていますので、創業を検討されている方は是非作成してみてください。補足となりますが、実際に創業融資を受ける際には所定のフォーマットに書ききれない内容を記載して、添付として提出する場合が多くあります。最大限、自分の考えているビジネスをアピールすることが必要ですが、その際にアピールしていただきたいことが自分自身の「強み」です。是非、自分自身の強みを相手に伝わるようにアピールしてください。近年は女性の創業希望者も多く、生活関連サービスなどを目指される傾向が多く、初期投資が少額だという理由で借入をしないケースもありますが、そうした場合でも創業計画書を作成し、自分自身の事業のスタートの標(しるべ)としてください。
解決 POINT 3
事業スタート~軌道に乗るまで
事業をスタートした創業者がまず直面するのは売上の確保の難しさです。想定通りの売上が獲得できないケースも多くあります。また、想定外の出費が必要になってしまい、資金繰りに苦しむこともあります。必ず、計画段階から売上が思うように獲得できないケースも想定し、資金に余裕をもって事業をスタートすることが重要です。また、広告宣伝費を適切に計上できておらず、結果として広告宣伝費が予想外に発生してしまい資金繰りを悪化させることもあります。どうやって売上を獲得するのかを十分検討し、適切な資金配分を心がけましょう。
創業までは情報収集を積極的にされていた方でも、何故か創業した後に新しい情報の入手ができていないことも散見されます。創業はゴールではなくスタートですから、常に自分自身を磨き続けていくということも意識してください。
創業までは情報収集を積極的にされていた方でも、何故か創業した後に新しい情報の入手ができていないことも散見されます。創業はゴールではなくスタートですから、常に自分自身を磨き続けていくということも意識してください。
効果・成果
事前にしっかりと計画を立てておくことにより、実際にスタートした後の理想と 実際の差が明確になり、改善するための行動も明確になり、立て直しが容易にな ります。
私自身も個人事業としてビジネスを開始し、現在は法人化しスタッフを抱えるようになった創業者の一人です。時には思うようにいかず、苦しいことも多々ありましたが、それでも自分で事業を出来るということは非常にやりがいのある、楽しいことだと思います。楽しいはずの創業を、常に楽しく続けられるように事前によく考え、戦略を練り、取り組んで欲しいと思います。悩まれた際には是非専門家のアドバイスも受けてください。きっと新たな視点からのアドバイスは事業に良いアクセントを加えてくれるはずです。