起きていた問題
A社は昭和40年創業の工務店で、一般木造住宅の新築工事やリフォーム工事を手掛けてきましたが、リーマンショック後の平成21年頃から、大手住宅会社のリフォーム工事を中心に事業を展開するようになりました。事業規模は順調に拡大し、平成27年度の売上高は3.4億円でしたが、売上高の9割は大手住宅会社3社の下請け仕事でした。価格決定権が弱いため経常利益率は0.2%と極めて低く、毎年黒字を確保するのに四苦八苦の状況が続いていました。どんなにがんばっても厳しい状況から脱却できず、社長も従業員も疲弊していました。
コンサルタントの関わり方
社長の意識を変革し、下請けからの自立を図る
社長の考え方を変え、自社工事を中心としたビジネスモデルへ転換する。
解決方法
トップダウンによるビジネスモデルとしくみの変革
既存路線のままでは「どんなにがんばっても現状を変えることはできない」ということを社長に強く認識してもらい、率先垂範して変革を成し遂げる覚悟を持ってもらうことで、ビジネスモデルおよび社内のしくみ改革に取り組みました。具体的には、大手住宅会社の下請けリフォーム工事主体のビジネスモデルから、自社物件を中心とした自立したビジネスモデルへの転換を推進しました。また、新しいビジネスモデルに適応できる社内のしくみづくりに並行して取り組みました。
解決 POINT 1
社長の考え方を変え、取り組みへの覚悟を得る
当初社長は下記のような考え方で事業を進めていました。
・会社の発展とは規模が大きくなることである。
・目の前の仕事を一所懸命きっちりやっておれば評価と信頼が高まり、必ず経営状況は良くなる。
・大手住宅会社の仕事は、営業をしなくてもよいので効率的である。
また、従業員数が少ないので社長自らも多くの現場を担当していました。現場での仕事で多忙となり、会社全体を俯瞰する余裕もない状態でした。
まず社長とじっくり話をし、現在の延長線上の取り組みでは、どんなにがんばってもじり貧であること、よって抜本的にビジネスモデルを変えなくてはならないこと、そのためには社長が考え方を変える必要があること、等を理解してもらうために多くの時間を割きました。話し合いは7度に及び、お互いに声を荒げて本音をぶつけたり、他府県のビジネスモデル変革に成功した工務店を一緒に訪問し、経営者から話を伺ったりもしました。
三か月程度の時間がかかりましたが、社長は下記のように考え方を変えてくれました。
・規模よりも適正な利益が得られる会社にする
・そのために、自社物件を中心としたビジネスモデルに変える
・社内の古いやり方を一掃し、新しいしくみを構築する
さらに、ビジネスモデルやしくみ変革成功の鍵は社長の強いリーダーシップであることを説明し、取り組みへの強い覚悟を求めました。
考え方を転換した後の社長は、変革への強い思いを周囲に発信するとともに、積極的に行動を起こし始めました。
・会社の発展とは規模が大きくなることである。
・目の前の仕事を一所懸命きっちりやっておれば評価と信頼が高まり、必ず経営状況は良くなる。
・大手住宅会社の仕事は、営業をしなくてもよいので効率的である。
また、従業員数が少ないので社長自らも多くの現場を担当していました。現場での仕事で多忙となり、会社全体を俯瞰する余裕もない状態でした。
まず社長とじっくり話をし、現在の延長線上の取り組みでは、どんなにがんばってもじり貧であること、よって抜本的にビジネスモデルを変えなくてはならないこと、そのためには社長が考え方を変える必要があること、等を理解してもらうために多くの時間を割きました。話し合いは7度に及び、お互いに声を荒げて本音をぶつけたり、他府県のビジネスモデル変革に成功した工務店を一緒に訪問し、経営者から話を伺ったりもしました。
三か月程度の時間がかかりましたが、社長は下記のように考え方を変えてくれました。
・規模よりも適正な利益が得られる会社にする
・そのために、自社物件を中心としたビジネスモデルに変える
・社内の古いやり方を一掃し、新しいしくみを構築する
さらに、ビジネスモデルやしくみ変革成功の鍵は社長の強いリーダーシップであることを説明し、取り組みへの強い覚悟を求めました。
考え方を転換した後の社長は、変革への強い思いを周囲に発信するとともに、積極的に行動を起こし始めました。
解決 POINT 2
ビジネスモデルの変革
A社は利益率の低いことが大きな問題でした。その主たる原因は、価格決定権が非常に弱い大手住宅会社の下請け工事が事業の主体になっていることです。ビジネスモデルを変え、適正利益が確保できる自社物件工事へ軸足を移すことが取り組みの主眼となりました。
実施にあたっては、「変革へ取り組む社長の活動時間をきっちり確保すること」と「直近の経営に支障が出るような急激な変革は避けること」の2点に留意しました。
まず大手住宅会社3社のうち最も利益率が低いD建託の工事から撤退し、社長の活動時間を確保するとともに、高齢で引退を希望していた70歳代半ばの社員2名の希望を叶えることにしました。次に、500軒程度ある昔の自社工事OB顧客へのフォローと、ホームページやフェイスブックの立ち上げなどに着手しました。大手住宅会社の仕事が中心となった後も盆暮れの挨拶を欠かさず実施していたことや、地域のイベント等へ社長の奥様が真面目に顔を出していたこともあり、OB顧客の反応は良く、受注や紹介が当初予想よりも早くいただけました。
翌年にはSハウスの工事からも撤退し、近隣の分譲後約40年が経過した2か所の分譲地に的を絞り、リフォーム現場見学会等を開催するなど集中的に知名度アップに取り組みました。またABC分析したOB顧客のA客周辺の住民へキャンペーンを張るなど、ホームページにばかり頼らず、汗を流す取り組みもしっかり実施し、顧客の幅を徐々に広げていきました。
現在は大手住宅会社の最後の1社H建設の工事をまだ一部行っていますが、自社物件工事が約80%を占めるまでになりました。
実施にあたっては、「変革へ取り組む社長の活動時間をきっちり確保すること」と「直近の経営に支障が出るような急激な変革は避けること」の2点に留意しました。
まず大手住宅会社3社のうち最も利益率が低いD建託の工事から撤退し、社長の活動時間を確保するとともに、高齢で引退を希望していた70歳代半ばの社員2名の希望を叶えることにしました。次に、500軒程度ある昔の自社工事OB顧客へのフォローと、ホームページやフェイスブックの立ち上げなどに着手しました。大手住宅会社の仕事が中心となった後も盆暮れの挨拶を欠かさず実施していたことや、地域のイベント等へ社長の奥様が真面目に顔を出していたこともあり、OB顧客の反応は良く、受注や紹介が当初予想よりも早くいただけました。
翌年にはSハウスの工事からも撤退し、近隣の分譲後約40年が経過した2か所の分譲地に的を絞り、リフォーム現場見学会等を開催するなど集中的に知名度アップに取り組みました。またABC分析したOB顧客のA客周辺の住民へキャンペーンを張るなど、ホームページにばかり頼らず、汗を流す取り組みもしっかり実施し、顧客の幅を徐々に広げていきました。
現在は大手住宅会社の最後の1社H建設の工事をまだ一部行っていますが、自社物件工事が約80%を占めるまでになりました。
解決 POINT 3
社内のしくみ改革
社長が現場仕事に忙殺され、経営全体を俯瞰する余裕がなく、経理を担当する社長の奥様も経理の専門家ではないため、結果としていわゆるどんぶり勘定になっていました。また、ほとんどすべてが紙管理で、現場ごとの原価管理データもない状況でした。
エクセルベースの簡単な管理システムを構築し、現場ごとの原価管理データなど、必要な時に必要な最低限のデータを見ることができるしくみを構築しました。また、経費支出のルールを見直し、必ずチェックが入るしくみに変更しました。社長も奥様も元々管理への気持ちは高く、特に厳しくした訳ではありませんが、「見える化」により約3%程度のコスト改善が実現しました。
エクセルベースの簡単な管理システムを構築し、現場ごとの原価管理データなど、必要な時に必要な最低限のデータを見ることができるしくみを構築しました。また、経費支出のルールを見直し、必ずチェックが入るしくみに変更しました。社長も奥様も元々管理への気持ちは高く、特に厳しくした訳ではありませんが、「見える化」により約3%程度のコスト改善が実現しました。
効果・成果
・大手住宅会社の下請け工事比率が約90%から20%程度に減少、自立が進んでいる。
・売上高は3.4億円から2.1億円へと2/3になったが、経常利益額は630万円(0.19%)から1,370万円(6.5%)と2倍以上になった。
・売上高は3.4億円から2.1億円へと2/3になったが、経常利益額は630万円(0.19%)から1,370万円(6.5%)と2倍以上になった。
組織変革はトップダウンであることを改めて感じさせる事例でした。経営者が変革に対し強い思い(覚悟)を持ち、率先垂範で実行する行動力があれば、大きな障害も乗り越えられることを実感しました。しかし現実には考え方の変換は容易ではなく、ビジネスモデルの転換もどうしてよいかわからないというような話も耳にします。そのような場合専門家を活用することをお勧めします。外部からの視点は、内部からでは見えにくい問題点を把握するのに非常に有効です。また、取り組みの方法についても適切なアドバイスが得られると考えます。まずは当会にお問い合わせください。