起きていた問題
社長が会社を起こして以来20年、様々な変遷を経て何とか今日の業容をつくり上げてきました。しかし立ち止まって振り返ってみると業績は踊り場にきており、以前ならば社長の号令一つで動いた社内も不統一、方針や考え方に齟齬を来たす場合もあり、社員の空気も淀み気味でモチベーションも低下傾向で社員の退職者も相次ぐことに危機感を抱くようになりました。自らが陣頭指揮を執り引っ張ってきたつもりでしたが、昨今の働き方改革による労働規制や世の中の価値観の多様化による労働感の変化はあるものの、何が原因なのかが釈然としない不安と行き詰まり感を感じるようになっていました。
コンサルタントの関わり方
第3者の目線による悩みの原因の整理・解析、対策の立案・支援
①会社の停滞した状況を組織風土・人事労務面を中心に整理
②経営理念不在が問題の根本であることを突き止めその作成を実施
②経営理念不在が問題の根本であることを突き止めその作成を実施
解決方法
経営理念をつくり企業風土の改革を図る
経営理念の作成には社長の強い意志が入っていなければなりません。しかし社長の独断だけで作成しても「あれは社長が勝手に言っているだけ」となって実効性なく終わってしまう危険性があります。そのため作成する段階で社員がワーキングチームとして参画・検討し、最後は社長の意志を込めて判断して決定するプロセスを取りました。そうすることにより社内に共感と一体感が醸成され企業が良いサイクルに回転し始めました。そして完成した経営理念を戦略・方針・計画に落とし込むとともに、社内においては組織・社員に習慣となり定着するように、社外に向けては関係先に公表し浸透させるべく努めるようにしました。
解決 POINT 1
経営理念に対する経営者の意思固め
経営理念とは「我が社は何のために存在しているのか」「我が社は何を通して社会に貢献するのか」を表した企業の憲法であり、全社員の精神的支柱となるものです。長期にわたって繁栄を続けている企業は良い経営理念を持ち、それが組織・社員の血となり肉となって社内外において常に実践し続けることによって、今日に至っています。経営理念が存在することによるメリット、存在しないことによるデメリット、現在の社長の心配事は経営理念の不在によるものであることを、筆者が松下電器に勤めていた頃の同社の経営理念を事例にも出しながら時間を掛けて納得いただきました。
経営理念を新規に作成するハラを決めていただいた後は、作成の第一歩として社長の経営・事業に対する想いを一旦棚卸していただくことから始めました。
①経営理念とはどのようなもので何を求めたいのか。
②自社をどのような企業にしたいのか。
事業分野・業績規模・社風風土・将来展望等について
③社長自身の思想はどのようなものなのか
経営観…顧客観・商品観・技術観・人材観
人生観…倫理観・幸福観・死生観
社会観…使命観・未来観・世界観
以上を1ヶ月掛けて整理した上で次のステップに進みました。
経営理念を新規に作成するハラを決めていただいた後は、作成の第一歩として社長の経営・事業に対する想いを一旦棚卸していただくことから始めました。
①経営理念とはどのようなもので何を求めたいのか。
②自社をどのような企業にしたいのか。
事業分野・業績規模・社風風土・将来展望等について
③社長自身の思想はどのようなものなのか
経営観…顧客観・商品観・技術観・人材観
人生観…倫理観・幸福観・死生観
社会観…使命観・未来観・世界観
以上を1ヶ月掛けて整理した上で次のステップに進みました。
解決 POINT 2
経営理念をワーキンググループを経て作成
経営理念の作成は社長の専権事項であり権限移譲のできないものです。しかし立派な経営理念であっても社内で共有されなければ絵にかいた餅、宝の持ち腐れとなり、社長室の壁に額に入れて飾っているだけのもので終わります。経営理念の意味・意義が組織・社員の隅々にまで浸透し習慣化して日々実践されることによって初めて持続可能性の高い企業になります。そのためには作成過程において社員が参画し「自分のもの」としての意識を持つことが大切です。参画することにより社員の中に企業や仕事に対する誇りが産まれ、仕事の深み・極みを理解できるようになります。このような社員参画のプロセスを経て最終社長が判断・決定することにより、本当の活きた経営理念が産まれます。
そのための社員参画のステップを次のプロセスで実施しました。
①メンバーの選定:幹部を含む各職位・年齢層から現在会社を担っている人、将来担うであろう人を6~10名選出しワーキングチームを立ち上げました。
②メンバーへの動機づけ:経営理念の必要性とその作成に掛ける社長の強い想いを、一般論も交えてハラ落ちされるまで話し込みました。
③他企業の事例の研究:世の中の企業の経営理念がどのようなものなのか、国内外・大手中小の様々な事例を参照し、また筆者の松下電器での経験も含めて勉強いただきました。
④ワーキンググループでの議論:上記の予備知識をベースに自社のありたい姿、自身のなりたい姿を描きながらキーワードを挙げることから始めました。最初は発散的思考に1ヶ月、次に収束的思考に1ヶ月の合計2ヶ月を掛けて複数案をまとめていただきました。
それをもとに社長が専権事項として1ヶ月掛けて、章立て・分量・キーワード・言い回し等をサポートしながら最終作成・決定しました。
そのための社員参画のステップを次のプロセスで実施しました。
①メンバーの選定:幹部を含む各職位・年齢層から現在会社を担っている人、将来担うであろう人を6~10名選出しワーキングチームを立ち上げました。
②メンバーへの動機づけ:経営理念の必要性とその作成に掛ける社長の強い想いを、一般論も交えてハラ落ちされるまで話し込みました。
③他企業の事例の研究:世の中の企業の経営理念がどのようなものなのか、国内外・大手中小の様々な事例を参照し、また筆者の松下電器での経験も含めて勉強いただきました。
④ワーキンググループでの議論:上記の予備知識をベースに自社のありたい姿、自身のなりたい姿を描きながらキーワードを挙げることから始めました。最初は発散的思考に1ヶ月、次に収束的思考に1ヶ月の合計2ヶ月を掛けて複数案をまとめていただきました。
それをもとに社長が専権事項として1ヶ月掛けて、章立て・分量・キーワード・言い回し等をサポートしながら最終作成・決定しました。
解決 POINT 3
経営理念に基づく計画の再構築と浸透
経営理念は活用されて初めて存在意義のあるものになります。会社は今だけ・カネだけ・我が社だけの刹那的・即物的・利己的な考えでは成功するものではなく、例え短期の成功をみたとしても長期での成功はありません。それは社会の発展や人々の幸福に貢献していないからです。現在の自社の状況を、長期的には方針・目標・戦略・組織・人事・制度等を、短期的には計画・戦術等を、日常面では行動指針・基本動作等を、経営理念に照らして顧客志向・社員志向・社会志向等の切り口でもって確認・検証します。その結果、経営理念との整合性に齟齬がある場合は部分修正を、多い場合は一からの再構築によって経営理念が実践できる形に創り変えることが必要です。
作成された経営理念をもとに現事業内容を次のプロセスでレビューしました。
①経営基本方針、経営目標
②外部環境(機会・脅威)と内部環境(強み・弱み)とのSWOT分析による戦略ドメイン(対応すべきニーズ・ターゲット顧客・競争優位性)
③全体戦略の策定(戦略代替案の中での最適戦略案なのか)
④個別事業戦略
⑤機能別戦略(財務・マーケティング・人事労務等)
修正箇所・不足箇所・欠落箇所が発見され整理した上で、当年度は既に進行中でしたが期中で可能なところから計画を変更し、次年度の事業計画から本格的に織り込むようにしました。
経営理念のもとに社長のみならず現場の社員まで全員が同じ信念を持ち同じ価値観を共有し、同志として同じ目標に向かって邁進しなければなりません。仕事をする上で常に「その判断は理念に反していないか」「その考え方は理念に沿うものか」「その行動は理念を反映したものか」を考え、一人ひとりが経営理念という鏡に自分を映し日々自身を高めていくことが習慣にならなければなりません。社外においては、社会はその企業に対する信用・信頼の根拠を、経営理念に由来する企業イメージ(社格=人の場合の人格に相当)に置いて判断します。そのためには社内外に向けて経営理念の発信・浸透を続けることが必要です。
そのため社内においては、社長の経営理念に掛ける想いが本物であることを、経営理念の内容の言行一致・率先垂範をして示すとともに、様々な場面で常に語り続けていくこととしました。そして更に
①経営理念の社内掲示、ホームページ上での明示
②朝礼での経営理念の唱和
③経営理念に基づく採用や人事評価
④報告・決裁の場面での経営理念に基づいた判断なのかの確認
⑤経営計画の中での経営理念にどう基づいているかの明示
を実施し、習慣として定着させるよう粘り強く取り組むこととしました。社外に対しては、仕入れ先・販売先・提携先・金融機関等に経営理念を策定・再構築した旨を紹介しました。自社のことを理解・応援・監視していただくことにより、社内外からの相互作用で浸透を図っていきます。
作成された経営理念をもとに現事業内容を次のプロセスでレビューしました。
①経営基本方針、経営目標
②外部環境(機会・脅威)と内部環境(強み・弱み)とのSWOT分析による戦略ドメイン(対応すべきニーズ・ターゲット顧客・競争優位性)
③全体戦略の策定(戦略代替案の中での最適戦略案なのか)
④個別事業戦略
⑤機能別戦略(財務・マーケティング・人事労務等)
修正箇所・不足箇所・欠落箇所が発見され整理した上で、当年度は既に進行中でしたが期中で可能なところから計画を変更し、次年度の事業計画から本格的に織り込むようにしました。
経営理念のもとに社長のみならず現場の社員まで全員が同じ信念を持ち同じ価値観を共有し、同志として同じ目標に向かって邁進しなければなりません。仕事をする上で常に「その判断は理念に反していないか」「その考え方は理念に沿うものか」「その行動は理念を反映したものか」を考え、一人ひとりが経営理念という鏡に自分を映し日々自身を高めていくことが習慣にならなければなりません。社外においては、社会はその企業に対する信用・信頼の根拠を、経営理念に由来する企業イメージ(社格=人の場合の人格に相当)に置いて判断します。そのためには社内外に向けて経営理念の発信・浸透を続けることが必要です。
そのため社内においては、社長の経営理念に掛ける想いが本物であることを、経営理念の内容の言行一致・率先垂範をして示すとともに、様々な場面で常に語り続けていくこととしました。そして更に
①経営理念の社内掲示、ホームページ上での明示
②朝礼での経営理念の唱和
③経営理念に基づく採用や人事評価
④報告・決裁の場面での経営理念に基づいた判断なのかの確認
⑤経営計画の中での経営理念にどう基づいているかの明示
を実施し、習慣として定着させるよう粘り強く取り組むこととしました。社外に対しては、仕入れ先・販売先・提携先・金融機関等に経営理念を策定・再構築した旨を紹介しました。自社のことを理解・応援・監視していただくことにより、社内外からの相互作用で浸透を図っていきます。
効果・成果
社長が危機感を抱いていた社内の空気や社員のモチベーションは少しづつ改善され、仕事に対する積極的・建設的な発言・動作が出るようになり、組織間においても有機的・自律的に活動する兆しが見えるようになってきました。社外からの評価は時間を要しますが、経営理念に裏打ちされた良い製品・サービスが産み出され社会に貢献し経営姿勢とともに評価いただくようになることで、将来中長期にわたって永続性のある会社に成長できるものと思います。
良い経営理念が強い会社をつくります。経営理念の作成・見直しをしてみませんか。