経営コラム

そうだ、パソコンを買おう 中小企業におけるパソコンの選び方

はじめに

DX、AI、RPA。
次から次へと新しいキーワードが登場しますが、皆様のIT活用は進んでいますでしょうか?コロナ禍において日本のデジタル化の遅れが際立ち、「2025年の壁」を目前にDX推進を推進する必要性が説かれたとしても、何をすればよいのか分からず、特に何もできていないという方も多いようです。

サラリーマン時代に長年パソコン営業をしていた筆者は、本コラムでパソコンの有効活用を提案します。皆様、パソコンを買いましょう。良いパソコンは仕事のスピードを上げ、生産性を高めます。
本コラムでは皆様にパソコンを買うべきメリットと、中小企業におけるパソコンの選び方をお伝えします。
※本記事ではwindows PCを前提にお話しします

古く遅いパソコンの弊害

システム導入の現場で、実際の業務の担当者と話をすると、「できればパソコンではなくFAXを使いたくて。」と要望がありました。詳しくお話を伺うと、朝一番に書類を受け取って倉庫作業を始めたいのに、パソコンの起動を待っていると仕事のスタートが遅くなってしまうということでした。実際、現場のパソコンを確認すると、起動から情報印刷まで5分程度かかりその時間がもったいないということなのです。
現場のパソコンは5年以上使われており、壊れてはいないものの使いにくいものになっていました。壊れていないパソコンを買い替えるということは抵抗があるかもしれませんが、業務の現場に使いにくい道具があり、そのせいで仕事が遅れるということは好ましい状況とは言えません。また、パソコンの使いにくさが現場のIT化が遅れる要因の一つになっているかもしれません。適切な買い替えで業務の効率化を進めましょう。

現在の業務から考える必要なスペック

パソコンが遅いといっても、その要因は様々です。その要因を探るために、お手元のパソコンで、Ctrl+Shift+Escのキーを同時に押してみてください。「タスクマネージャー」というウィンドウが開くと思いますが、その中の「パフォーマンス」タブを押してみてください。ここに表示される情報が、今あなたのパソコンの稼働状況となります。

もし、今現在パソコンの動作が遅いのであれば、「CPU」か「メモリ」の使用量が高く(概ね80%以上)になっているのではないでしょうか?「CPU」とは車でいうとエンジンにあたる部分で、パソコンの動作を司る部分となります。簡単な操作しかしていないのにCPUがすぐに高い稼働状態になるのであれば、パソコンの能力が使用中のシステムに足りていない可能性が高く、解消するにはパソコンの買い替えが必要となります。
「メモリ」の部分は一時的にデータを書き出す作業領域の大きさを示しています。作業中のパソコンの動作が遅い場合、この部分の稼働率が高くなっている場合が多いようです。4GB、8GBなどと表示されている最大容量が作業領域の大きさを示しており、近年は4GBの容量では不足してしまい、動作が遅いと感じられることが多いようです。この部分は後から増設することが出来る場合がありますので、パソコンの型番を調べ、メモリ増設可能か検討してみるのも有効です。注意すべき点として、新たにパソコンを購入する場合の容量を必ず確認しておく必要があるということです。現在8GBの容量を使っていて、メモリが原因で遅さを感じている場合、新しくパソコンを購入してもそのパソコンのメモリが8GBであれば、動作が改善しない可能性があります。近年の主流は8GB以上のようですが、使用用途によって必要な容量は異なりますので、気を付けましょう。
その他、パソコンに電源を入れた後の立ちあがりの速度改善にはSSD搭載のパソコンを選ぶのがお勧めです。データを記憶する部分がハードディスクからSSDに置き換えられているパソコンで、とにかくパソコンの立ち上がりが早くなります。欠点として、データを保存する容量を大きく取れない場合があることですが、画像や動画などのデータを保存するのでなければ、SSDの容量でも十分なことが多いです。

買うべきはデスクトップかノートパソコンか

10年以上前であれば会社で使うパソコンはデスクトップパソコンが主流で、ノートパソコンよりも高性能だというのが一般的でした。しかし近年ではノートパソコンでも性能はほとんど変わらず、金額的にもノートパソコンのほうがコストパフォーマンスが良いという傾向にあります。また、デスクトップパソコンを製造しているメーカーが減少しており、ノートパソコンのほうが選択肢が豊富にあるため、業務上問題なければノートパソコンを前提に検討されることが良いでしょう。
もし社内での使用を前提に検討されるのであれば15インチ程度の大きさで、いわゆるA4ノートという種類が一押しです。ノートパソコンの中では一番コストパフォーマンスが高く、各社とも多くのラインナップを出していますので、選択肢も豊富にあります。一方で、社外への持ち運びが多い場合は13インチ以下のモデルが狙い目になります。重さも1.5キロ以下であれば楽に持ち運べますが、軽いパソコンはその分価格も高くなる傾向がありますので、性能と価格のバランスを見てご検討ください。

そもそも企業はどのくらいIT投資をすべきか?


出典:企業IT動向調査報告書 2021 https://juas.or.jp/news/topics/3827/
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の調べによると、
業種によって異なるものの、企業における売上高に占めるIT予算比率(トリム平均値)は1.23%となっています。つまり、売上高1億円の企業であれば約120万円の年間予算がIT投資に向けられていることとなります。参考程度ではありますが、どのくらいの予算をITに向ければ良いのか悩まれる企業は参考にしてみてはいかがでしょうか??

IT化促進のベースとして

どの程度パソコンを使用するのかは企業によってかなり差があります。また、パソコン以外にもタブレットやスマートフォンなど情報機器は近年増加傾向にあります。そうした中で、パソコンは様々な代替が可能になり、一部ではパソコン離れが進んでいる様子です。また、パソコンの進化速度はやや鈍化してきているようで、集積回路の進歩を示したムーアの法則も、近年限界を迎えているとみなされつつあります。とはいえ、未だにパソコンはIT関連業務の重要な位置を担っており、今後さらにIT活用を進めるためにも、そのベースとなるパソコンの使い勝手を整えておくことはとても重要です。「とにかく使えればよい」、という存在ではなく、「企業のIT化を促進する重要なツール」と捉え、パソコンを買い替えてみませんか??

(※本コラム内の写真はマイクロソフト提供のストック画像より引用)

担当メンバー名:三宅 真司(中小企業診断士)

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