【ウィズコロナの時代に組織営業力を発揮し、地域一・業界一の企業を目指す】
はじめに
昨年来のコロナ禍により、多くの中小企業が多大な影響を受け業績が悪化しました。ではコロナが収束すれば、業績が直ちに回復するかというとそうではありません。
実は中小企業はコロナ以前から、人手不足や働き方改革、グローバル化など外部環境が激変する中多くの課題を抱えていました。多くの課題の中でも営業力強化は人材の確保・育成と並び以前より上位の課題に上げられていますが、多くの企業は、今日においても旧態の属人型個人営業から脱却できていません。
そこで今回、中小企業がウィズコロナの時代を勝ち抜くために必須となる組織営業について、いかに営業組織の体制をつくり実践するか、そして地域一・業界一の企業をいかに目指すかについてご紹介いたします。
【中小企業が重要と考える経営課題】
出典:令和2年㈱野村総合研究所「中小企業の経営課題アンケート」より
本コラムの要点は下記のとおりです。
組織営業を理解する
私はコンサルとして開業する前35年間、某上場商社で営業をしておりました。その長年の営業経験から、そもそも営業は、決まった形がなく属人的になりやすいブラックボックス的な活動だというのが実感です。
実はトップセールスマン自身もなぜ売れたのか分からないことも多く、暗黙知になりやすいスキルなのです。それでもバブル以前は属人的営業でも通用したのですが、その後のモノが売れない時代において旧態依然の属人的営業のままでは、お客様に全く相手にされません。
日本の企業の80%が赤字であり、赤字の要因は様々ですが、属人型個人営業から脱却できていないことも大きな要因です。
そしてウィズコロナの時代、企業はこれまで以上に独自のビジネスモデルでお客様の根本的なニーズに応え、お客様の事前期待を超える商品・サービスを提供し続けなければ生き残ることはできません。
昭和のスーパー営業マン頼みの営業ではお客様に通用せず、これからの時代は、営業チームそれぞれの人の強みを引き出し、組み合わせ、お客様のために組織力を発揮する企業が中長期的に必ず勝つのです。
組織力 = 個人の力量 × 組織システム × リーダーの本気度
組織営業の前提として企業がまず取り組むべきことは、自社のターゲットのお客様は誰なのか、そのお客様は結局なんで取引先を決めるのか、そしてお客様の心は何によって動くのかを徹底的に考え続け、お客様が自社から買いたくなる「顧客購買ストーリー」を組み立てることです。
そして企業は、最前線の営業チームをインサイドセールス(非対面営業)とフィールドセールス(対面営業)に再編し、営業リーダーのもとそれぞれが役割を果たし連携して、お客様が自社を選び続け購買するストーリーを具現化すること、それが組織営業の目的なのです。
【顧客購買ストーリー】
インサイドセールス(非対面営業)の役割とは
インサイドセールスとは、顧客に訪問せず非対面チャネルを活用して、お客様とコミュニケーションを重ね営業活動を行う内勤型営業です。
インサイドセールスの担当者は、お客様と電話やメール、SNS、オンラインなど非対面でコンタクトを取り、情報を収集しニーズを把握しながら有益な情報をタイミングよく提供し、お客様の興味と関心を高める、そしてお客様と適度な距離感を保ちながらサポートすることにより、自社に対する好感度とロイヤリティを高めていくことが役割です。
インサイドセールスの具体的な業務は以下の6つです。
①見込み顧客リストをつくる
②企業情報を収集し、見込み顧客のキーマンを探しあてる
③見込み顧客の課題やニーズなどの仮説を立て、仮説をベースにキーマンにアポイントを取る
④フィールドセールス担当者に顧客情報、仮説やニーズ、アポイントの内容を伝達する
⑤自社の営業全般を社内からサポートする
⑥情報提供を続け顧客の興味と関心を高める
また上記の業務を遂行するためにインサイドセールスに求められる力は以下の3つです。
①正確に物事を伝える力(高いコミュニケーションスキルと情報を正確に掴む力)
②情報を整理し、把握する力(特にBANT:予算、権限、ニーズ、タイミング)
③他部門と協力しながら、組織活動として改善し続ける力
これからの営業、特に製造業や卸売業ではインサイドセールスが中心となります。それはウィズコロナの時代、対面営業に様々な制約があるからだけではありません。
お客様に対して、製品仕様・機能面の提案に加え、サービスや体験などの付加価値も併せて提案し納得いただく、課題解決のアプローチが求められるからです。
このようにインサイドセールスは組織営業の要となり、お客様の課題を発見し共に解決するという営業プロセスの中で重要な役割を担うことになります。
フィールドセールス(対面営業)のスキルについて
フィールドセールスは、お客様を直接面談する従来の対面営業です。従来通りと言ってもこれからの対面営業は、昭和では通用した御用聞きのままでは、お客様にまったく相手にされなくなります。
ウィズコロナの時代は以下の交渉における基本ステップのスキルを磨き続けることが必須となります。
【フィールドセールスの基本ステップのスキル】
①戦略的雑談スキル
②質問傾聴を駆使し、仮説検証を繰り返してお客様の本質的な課題をつかむスキル
③お客様のニーズを喚起するスキル
④プレゼンテーションスキル
⑤交渉、クロージングスキル
フィールドセールス担当者は、インサイドセールスからターゲット顧客をバトンタッチされキーマンと面談します。
まず戦略的雑談ですが、キーマンに対して伝達されたお客様情報に基づき関連する話題を切り出して本題への流れをつくるとともに、お客様とラポール(良好な関係性)を築きます。
次に良い流れをつくった後に、準備してきた課題の仮説をぶつけ質問傾聴を繰り返しながら、お客様の根本的課題をつかみます。
そして課題解決には何が必要か、何をすべきかその方向性を示してお客様のニーズを喚起し、こちらの解決策を是非聴きたいという状態にします。
キーマンのニーズを喚起できればプレゼンテーションを行います。課題が解決できた先のゴールとその具体的実行策を示し購入の動機を上げ、確実にクロージングし受注します。
よってフィールドセールス担当者は、ロールプレイング等でそれぞれの場面でのスキルを高める訓練を行なわなければなりません。
組織営業を推進する営業リーダーのあり方とは
最期に組織営業のキーマンとなる営業リーダーの「あり方」です。私も営業責任者時代は、チームひとり一人の特徴を理解し、それぞれの力を存分に発揮してもらうこと、そしてお客様に自社のファンになっていただけるようチームとしてのポテンシャルを高めていくことに日々腐心しました。企業のビジョン、組織営業の目標を達成するための営業リーダーの役割と条件について、お示しします。
【営業リーダーの役割】
①会社のビジョンを達成できる営業方針(この商品、分野で地域一、業界一になるなど)を示し、売上げや営業利益などの営業目標を決め、達成をコミットメントする
②営業目標達成に向け、営業戦略および営業戦術を立案し、先頭に立って実行する
③パフォーマンスの高い人の暗黙知を見える化し、営業担当者全員の力量を向上させる
④常にメンバーに目配りし声をかけ続け、ワンフォーオール・オールフォーワンなチームワークを醸成する
【営業リーダーの条件】
①一番熱い熱を持ち、熱をメンバーに伝え、メンバーを熱くすること
②組織としてやりたいことを明確にできること
③やりたいことの実践を裏付けるための努力を惜しまないこと
④かかわるすべてのメンバーを導く工夫をすること
⑤必ずやりきる意志を持つこと
日本の企業350万社の99%は中小企業です。我が国の将来は、それぞれの中小企業が特徴を発揮し持てる力を存分に発揮することにかかっているといっても過言ではありません。
そのために私は、営業専門のコンサルタントとして、中小企業が組織営業体制を構築・実践し、業績を上げ続け、ビジョンを達成していただくことをこれからも全力で支援させていただきます。是非お気軽に相談、お声掛けお願いします。
(本コラムのイラストは、「イラストAC」「いらすとや」から引用しました)
担当メンバー名:青木 孝之(中小企業診断士)
CONTACT US お気軽にお問い合わせ・ご相談ください
お問い合わせに対してコンサルタントが
ヒアリングにうかがいます
Tel. 06-6809-5592
受付時間 平日 9:00〜17:00