中小企業製造業の新商品開発とインターネットによるメーカー直販
B to BからB to Cへの進出は、リスクが高い戦略であることを認識する必要がある
日本の景気低迷やモノづくりの生産拠点が海外に移る中、下請けから脱皮を模索する国内の中小製造業者が増えています。待っているだけで仕事がくる時代は終わったことを肌で感じているのでしょう。
下請けからの脱皮のひとつの方法として、従来のB to BからB to Cへの進出を考える企業も多いのではないでしょうか?この進出は、既存顧客である会社から購買特性が全く異なる個人へと顧客が大きく変わるので当然リスクが高い戦略となります。ではなぜリスクの高い戦略をとるのでしょうか?
その理由の一つがインターネットの普及です。新商品開発を考えている経営者の方に話を伺うと商品のアイデアや商品の良さについては熱く語っていただけます。そこで「じゃあ、この商品はどうやって売るのですか?」と問いかけると、「自社のホームページがあるのでインターネットで販売します」と返ってきます。
インターネットの普及により、自社のホームページを通じてエンドユーザーに直接アプローチできる環境が整ったことが、経営者をB to Cへの進出への挑戦を決意させることにつながっているのではないでしょうか?元々モノづくりには自信を持っている企業が多く良いモノさえ作れば、メーカー直販のメリットを活かして安くエンドユーザーに商品を提供できると考えるのでしょう。この考えは決して間違っているとはいえません。
でもどうでしょう?何か抜けてないでしょうか?
例えば、自社の技術を応用しておしゃれなiPadカバーを開発したとしましょう。
価格は3,000円で一台売れると 1,000円の利益がでます。これを自社のホームページで売る計画を考えて見ましょう。開発費に300万円かかったとすると、販売の経費などを無視して単純に3,000個売れば開発費を回収することができます。一年で3000個売れるには一日に平均8個売らなければなりません。8個売れるためには一日何人の人にホームページを見てもらわなければならないのでしょうか?例えば、その商品が非常に魅力的で「一日20人に見てもらえれば8個は売れる!!」とします。「20人くらいなら、今でもアクセスがあるよ」と言われるかもしれません。でも良く考えてください。その20人はiPadカバーを探している人ですか?今までの事業について興味がある人ではないですか?iPadカバーを探している人20人に毎日見てもらえるようになっていますか?googleで iPadカバーを検索すると約2,280万件の検索結果が表示されます(H23.3現在)。その中で自社のホームページを見つけ、たどり着いてもらえますか?検索結果の中にはiPadカバー専門店といったインターネット店舗も見られます。
その店舗に勝てる品揃えや利便性を提供できていますか?
インターネットによって、メーカー直販に対する参入のハードルは確実に下がっているといえます。ですが参入のハードル低い分、参入後の競争が激化しています。この競争に勝つには、良いモノだから売れるといった視点ではなく、どうやったらお客様が来店してくれるか?どのように商品を見せるか?どういったサービスを提供するか?といった小売店の視点が必要不可欠となってきます。当然、SEO対策や魅力的なホームページづくり、商品のラインナップ、広告宣伝などの費用や人員も必要となってきます。良いモノだから、ホームページを作って商品を載せておけば売れるといった環境ではないのです。
メーカー直販というのはメーカーが小売の機能まで持つことです。メーカー直販の新商品開発に取り組もうとするときには、小売でも競争に勝ち抜く覚悟が必要なのではないでしょうか?
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