経営コラム

池田理事長に若手から聞く「チームコンサルティング」の強み

大阪中小企業診断士会が提供する「チームコンサルティング」の強みについて、新入会員の若手診断士から、池田理事長にインタビューして頂きました。
日頃の疑問点や期待することなど、チームコンサルティングについて、存分に語り合って頂きました。
(以下、「大阪中小企業診断士会」は「士会」とします)

<参加者>

池田 朋之(いけだ ともゆき) 理事長(写真左側)
中村 彰太(なかむら しょうた) 診断士(写真中央)
数本 優(すもと ゆう) 診断士(写真右側)

中小企業診断士を目指した経緯と自己紹介

中村さん
前職では、道路舗装資材メーカーで営業をしていました。顧客には中小企業が多く、そうした関わりがきっかけで、中小企業診断士(以下、診断士)試験の勉強を始め、2022年の5月に独立しました。


数本さん
以前は、粉体機器の製作会社で研究開発を主に担当していました。そこで労働組合に加入した時に、経営陣と毎月話す機会があって、経営者と同じ知識は持っておきたいと思ったことが、診断士の勉強を始めたきっかけです。
資格取得後、2022年の2月に独立しました。


池田理事長
本日はよろしくお願いします。

中小企業診断士の活動事例

池田理事長
中村さんにお伺いします。今までのコンサルティングの中で社長に喜んで頂けたのはどんなケースですか?

中村さん
初めてのコンサルティング案件で、想像以上にスムーズに話せて、社長にとても喜んで頂きました。造園業の方で、実はそれまで関わりはありませんでしたが、私はもともと土木関係の会社にいたので親近感もあり、専門用語などにイメージも持てて話が盛り上がりました。

池田理事長
初めてでそれはすごいですね。数本さんはコンサルティングの際に相手の方の心を掴んだと実感したことはありますか?

数本さん
先日労働組合の幹部の方とお話する機会がありました。そのときに経営者様ではなく、一般社員の方でしたので、なるべくわかりやすい説明を心がけたら、とても喜んでくださり「本当にありがとうございます」と何回もおっしゃって頂けました。そのコンサルティングは本当に頑張ったので「やったな」って思いました。

チームコンサルティングのイメージ

池田理事長
チームコンサルティングの意味をお伝えする前に、お2人から「チームコンサルティング」についてどんなイメージを持っているかをお聞きします。

中村さん
チームなので、何人かで一緒になってお互いの専門性を活かしながら、担当を決めて、事業者様の様々な部門を支援する印象です。

池田理事長
なるほど。つまり、それぞれの得意分野を活かすイメージですね。ではそのチームは何人くらいで構成されていると思いますか。

中村さん
4、5人でしょうか。

池田理事長
数本さんはどうですか。

数本さん
人数は5人くらいで一つのチームになって、それぞれ専門があればそこを担当する。例えば人事や財務などと分けて、一つの企業に深く入り込んで、アフターフォローまで支援するイメージが強いです。

チームコンサルティングはまず2人から

池田理事長
大きな仕事や長期の仕事と考えると、やっぱりチームでやりたい。だけどチームというのは4人とか5人じゃなくて、私は2人でいいと思っています。2人の何がいいかというと、コンサル側の良い点は、自分にない視点でアドバイスができます。それは人事組織とか、財務とか、という括りだけではなく、同じ分野の人でもいいんです。例えばマーケティングが得意な2人が企業に訪問したとします。2人なら、自分の得意分野であっても違う視点で言ってくれるじゃないですか。事業者様からすると、やっぱり嬉しいんですよ。2人からの提案を受けることで選択肢が増えるわけです。例えば、自分の選択肢が5個なら5個しかない。でも2人ならば10個の選択肢を社長に提案できます。遥かにその方が社長は嬉しいと思います。4、5人でやるとなったら調整も仕事の分担も大変です。私の思うチームコンサルティングはまず2人からです。
2人でやるよりも1人でやって全部報酬を欲しいと思いませんか?特に独立したての時はそう思いますよね。私もそう思いました。でも、2人で支援して相手に付加価値が何倍もつけば、長期受注につながることもありますよね。例えば1人でやると1年で終わるのに2人でやれば3年続く。

事業者様にチームで受けて頂く提案例

池田理事長
また、事業者様側もぜひチームを作って受けて頂きたいですね。例えば、社長と後継者がタッグを組んで、プロジェクトチームにする。経営幹部の方と若手チームや、将来の幹部候補チームでもいいですね。「一緒に御社の将来像を考えませんか」というような提案もできますね。あるいは、後継者のケースを考えてみましょう。上にはまだベテランの役員がいっぱいおられて40歳くらいの後継者である息子さんが社長になるとしましょう。でも、新社長を支える体制ができていない。それなら、新社長が自分と一緒にやりたい人を集めて、一緒に将来を考えるというプロジェクトなら、夢のある楽しいプロジェクトになりますよね。

中村さん
それは楽しそうですね。

池田理事長
事業者様は同時に人材育成ができます。われわれ支援者もチームですが、事業者様にもチームになって頂きたいです。チーム対チームだと、もっと良い成果を上げることができます。だから社長だけじゃなくて社員の方も一緒にやりましょうよって提案します。
チームコンサルティングのイメージ、つかむことができましたか?

数本さん
理想としては、チームコンサルティングとは、士会が「こういう案件あるからチームでいこう」っていうのではなくて、いろいろな場面でチームコンサルティングが自然発生するような感じでしょうか。

池田理事長
自然発生して欲しいです。もっというと硬直的にして欲しくないですね。

数本さん
硬直的と申しますと?

池田理事長
例えば、月1回、この日集まりましょう、とか。ずっとトップの人とメンバーが一緒など。私はそういう組織を作って欲しくないです。
ある案件があって、専門チームができたとしましょう。そして、案件を獲得・支援して、終わったら解散するように、できたり解散したり、ポンポンとチームができる、そういうイメージです。

数本さん
決められた2人だけでずっと仕事を一緒にするのではなく、一つの案件を一緒に仕事して、終わったらぱっと別れて、次はこの人と組むようなイメージでしょうか?

池田理事長
「せっかく仲間になったのに別れるの?」とか、「もっとやろうよ」などと言われる方もおられるでしょう。硬直的な関係性が嫌だからみんな独立したわけだし、フリーな感じで発生したり消滅したり、会員同士で取り組んでくれたら嬉しいです。

チームコンサルティングの強みとは

池田理事長
例えば士会と同じ300名規模のコンサルティング会社があったとします。そこのコンサルタントはみんな社員コンサルタントです。なので会社の方針に従う必要がありますし、ノウハウも確立されている。士会は約300人の会員がいますが、みんな「コンサル会社の社長」、つまり個人事業主です。だからそれぞれの立場は自由です。自由な発想を持ったメンバーがチームで提案しますから提案の中身はより深くなります。
もちろん自由ということは自己責任でもありますので、やりがいがある分責任も重たくなります。

数本さん
従業員の立場だと、「自分がこうしたい」と思っても自由にできないこともあると思います。私も経験がありますが、そういった意味ではおっしゃる通りで、1人1人が自分のやりたいことを、ある程度制限はありつつも経験などを活かして実践できるのはすごくいいなと思います。

中村さん
会社員時代は自分がもしミスをしても、最終的には会社の責任というか、全て自分が悪いとは思えないというか、そういう考えがどこかにありました。
実際に独立してからは、全て自分の責任になるので、理事長のおっしゃった責任の重さを感じます。ただ同時に自分で考えて、自分の責任でやりたいことをできるので、やりがいも非常に大きいと考えています。

池田理事長
実は自由っていうのは不自由でもあって、守ってくれる人がいないというリスクもあるんですけど、それ以上にモチベーションは高い。だから士会とコンサルタント会社との違いをちゃんと事業者様に伝えていかなきゃいけないし、事業者様から「士会もコンサル会社でしょう、何が違うんですか」と聞かれると思いますが、「本気度が違う」と答えて欲しいですね。この本気度が違う診断士がチームで取り組むことが、チームコンサルティングの強みです。

チームコンサルティングの事例

数本さん
チームコンサルティングの方が、1人よりも良い成果物を提供できると思われたのはいつ頃からですか?

池田理事長
独立して5年目に、調査事業の企画書を作成してプレゼンをする案件がありました。頑張れば一人でもできないことはないですが、5人ぐらいで企画書について喧々諤々、みんなで練り上げた結果獲得出来たんです。その時一人では絶対取れないなと実感しました。もちろん金額の大きな仕事があれば可能だけど、実際にそんな仕事なかなか無いよねって考えるかもしれませんが、実は逆だと思っています。小さな仕事でもチームでやり続けていけば、それが段々大きくなっていくものです。

今後のチームコンサルティングのあるべき姿

数本さん
士会会員同士が得意分野を活かして、周りをどんどん巻き込んで一緒にやりましょう、という流れが続くといいですね。

池田理事長
何かあったら一緒にやりましょう、案件が来たら誰か一緒にやってくれる人はいないかなって考えることが習慣になってほしいですね。
「チームコンサルティング」はこれからも進化していきます。チームコンサルティングについて、今日聞いてくれた話を、1人ではなく、どんどん周りを巻き込んで進めてもらえたら嬉しいですね。

中村さん
チームコンサルティングは、まだまだこれから伸びしろがあるとの話でした。どのように進化するのか本当に楽しみです。

池田理事長
ぜひどんどん意見を言ってください。「これもチームコンサルじゃないですか」って提案してくれるとありがたいですね。

中村さん
私達から声を上げるぐらいの気持ちで取組めばよいでしょうか

池田理事長
受け身ではなくぜひ積極的になって頂きたいですね。それが事業者様に対して良い支援の提供につながりますから。

今日はみなさん、貴重なお話をありがとうございました。
文責:岡本 香 診断士

チームコンサルティング
https://www.osaka-shindanshi.org/teamconsulting/
大阪中小企業診断士会 理事長からのご挨拶
https://www.osaka-shindanshi.org/organization/#menu3 

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