東大阪市✕ 大阪中小企業診断士会 専門家による経営相談の現在と未来
<参加者>
東大阪市役所 産業総務課
課長 米田 様
主任 山崎 様
窓口担当:大阪中小企業診断士会 窪津 診断士
聞き手 :大阪中小企業診断士会 プロモーション部 坂口
記録 :大阪中小企業診断士会 プロモーション部 辻本
令和2年度における窓口設置のきっかけと経営相談の背景
‐坂口:
本日はインタビューにお時間をいただきありがとうございます。過去から現在、そして未来に向けて、ご期待やご要望についてもお聞かせいただければと思います。 よろしくお願いいたします。窓口設置のきっかけをお聞かせください。
‐米田:
窓口設置のきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限や経済活動の制限の影響で、業績を落とした事業者が増えたことにあります。そこで経験値と専門性の高い中小企業診断士を配置し、対応していくため令和2年度より相談窓口を設置しました。
開設当時の状況:新型コロナウイルスの影響と事業者の相談窓口設置の背景
‐坂口:
窓口を開設後、継続しようと思われた経緯などお聞かせください。
‐米田:
令和2年度は新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた時期でした。そのため、国は様々な支援策として補助金や金銭的な支援、融資条件の緩和などを打ち出していました。しかし、そうした支援策をどのように活用すればいいのか分からないという相談が、多数寄せられていました。令和3年度以降も先行きが不透明ななかで、事業の継続が困難になった企業の方から、相談を受けることが多く、相談窓口の設置を継続してまいりました。
‐坂口:
窓口に診断士を配置することにどのようなメリットを感じておられますか。
‐米田:
私たち行政職員とは違って、診断士の皆さんは、多くのクライアントと関わっておられ、相談者が分からないことや聞きたいことを引き出す手法に長けておられる方が多いと思います。それは、私たち行政職員にはないスキルで、大変心強く思います。
‐坂口:
ご評価いただきありがとうございます。
‐米田:
本市に来ていただいている診断士の先生方には、問題が整理できていない相談者にも丁寧にご対応いただき、何か役立つものはないかとご提案していただいています。経営から少し離れてしまう部分もあるかもしれませんが、相談者の生活に関する事業の紹介など、本当に様々な形で応援してくださっていると認識しています。
‐坂口:
どこに聞けばいいか分からない時、市民サービスの一環としてすごく良いものだと思います。体制としてどのようになっていますか?
‐窪津:
窓口には複数の先生方がおられ、それぞれ得意分野があります。週3回、6名の先生が担当し、経営全般の様々な課題をカバーしています。
‐坂口:
色々な事例がありそうですね。特に印象深かった利用者からの声や、喜んでいただけた事例などがあれば教えていただけますか。
窓口相談事例 補助金や共同研究など
‐窪津:
補助金を2回申請したが採択されなかった事業者が窓口に来られたことがあります。初めは「補助金の加点項目である経営革新計画を申請した方がよいですか」という相談でした。詳細にお伺いすると、経営革新計画を新たに加点項目とするよりも、補助金の事業計画書の内容自体がしっかり記載していないと感じました 。そこで補助金の申請内容や事業計画を見直すことをおすすめしました。東大阪市が支援しているメニューをおすすめすることもあります。
https://www.city.higashiosaka.lg.jp/soshiki/44-2-0-0-0_1.html
また、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)などの公的研究機関との共同研究をご紹介することもあります。
https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000010210.html
窓口相談事例 創業支援
‐山崎:
令和3年度と令和4年度は主にコロナ関連の補助金に焦点が当たりましたが、令和4年度中盤からはその相談が少なくなり、新規事業立ち上げに関する相談が増加したため、令和5年度より創業相談のメニューを追加しました。
‐坂口:
そうなんですね。その事業についてくわしく教えてください。
‐窪津:
特定創業支援等事業)創業計画ブラッシュアップサポート
https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000035648.htmlという特定創業支援等事業です。内容は「経営」「財務」「人材育成」「販路開拓」について学んでいただきます。窓口には、計4回お越しいただいて、マンツーマンで学べるカリキュラムを組んでいます。
‐坂口:
お越しになる創業者の方々はどのような背景をお持ちですか?
‐窪津:
創業者の方は本当にさまざまですね。すでに創業された事業者が相談されるケースもあれば、まだ創業前に相談される事業者もいらっしゃいます。経営知識を習得したい方もいれば、ビジネスの知識が十分あると思われる方もいらっしゃいます。創業者のレベルに応じて、個別に相談に乗っています。
‐坂口:
創業支援では、それぞれのレベルに合わせた目線で話されるのですね。
‐窪津:
そうですね。日本政策金融公庫が提供しているテキストに沿って説明しますが、それに加えて、事業者の方に応じてレベルを合わせることができるからこそ良いと思います。事業者の方の目線に立ち、親身になって話を聞きますが、厳しいことを言う必要がある時もあります。
‐米田:
窪津先生がおっしゃったように、本人と向き合って、この人はちょっと理解していないな、と感じた時は立ち止まったり、ゆっくり進めたり、そういった臨機応変な対応をしていただいております。
‐窪津:
マンツーマン体制で個別のレベルに応じて学べる形式だからかもしれませんが、満足度はとても高いですね。5段階評価で言うと、上位2つの「満足」や「やや満足」が95%ぐらいを占めています。
窓口相談の新しい取り組み
‐坂口:
他にも新たな取り組みをはじめられたとのことですが、どのようなものですか。
‐米田:
カーボンニュートラルについて、皆さんに知っていただく機会を設ける取り組みをはじめました。国が推進する新たな取り組みについて、自分が関係あるのかどうかさえ認識していない方も多いと思います。そうした方に、何かしらの発信をすることで、市役所に話を聞いてみようと思っていただけるきっかけづくりが必要だと感じています。
具体的には、カーボンニュートラルに関して10個のよくある質問を診断士の先生からご提案いただき、「こうしたテーマで話が聞けるので来てみませんか?」と事業者の方へご案内する取組みをはじめました。
https://www.city.higashiosaka.lg.jp/cmsfiles/contents/0000033/33348/202312.pdf
‐山崎:
私ども市役所の職員は経営の専門家ではありません。脱炭素に取り組む事業者が具体的にどのような悩みを持っているのかわかりませんので、事業者の立場に立ったテーマをご提案いただけるのはありがたいです。
診断士会に求めていること
‐米田:
先ほども話に出ましたが、診断士の皆さんにはスキルや経験に基づいて、困窮されている方に合った丁寧な対応をしていただいています。これは知識以外の、診断士としての経験が根付いているのでしょう。公務員でない皆さんが、そのような対応をしてくださることに感謝しています。今後も新しい相談が来た際には、今までと同様に丁寧に対応していただければと思います。
‐山崎:
経営相談というと、経営が傾いているから相談するというマイナスのイメージがあると思います。東大阪市の経営相談では前向きな話もできるということをもっとアピールできればと思います。
‐坂口:
私たちも事業者の皆さんに、相談は悪いことではなく、一人で進むよりも二人で進む方が効率的で安全だと伝えたい。羅針盤がなくても進めるが、羅針盤があって指し示してくれることで自分の進むべき道がより明確になる。そうしたプラスのイメージを持っていただきたいですし、伝えていきたいですね。
令和5年度における窓口対応診断士
・今井 彰 診断士(チーフ)
https://www.osaka-shindanshi.org/member/n404880/
・池渕 ゆかり診断士
https://www.osaka-shindanshi.org/member/n409814/
・窪津 正充 診断士
https://www.osaka-shindanshi.org/member/n416501/
・小西 豊樹 診断士
https://www.osaka-shindanshi.org/member/n421485/
・佐藤 鉄昭 診断士
https://www.osaka-shindanshi.org/member/n419746/
・東 勉 診断士
https://www.osaka-shindanshi.org/member/n415431/
※最新の情報につきましては、東大阪市役所 産業総務課までお問い合わせください
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https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000028368.html
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